カードの営業政策いろいろ

img_interview1

年会費無料の老舗カード

年会費無料のクレジットカードが増加しています。ずっと年会費を徴収し続けていた老舗の信販会社もそのようなクレジットカードを発行し始めました。クレジットカードの年会費は、決済手数料としては中途半端な金額です。無料にした方がすっきりしそうなものですが「老舗」が方向転換をするのは難しいものです。

もともと信販会社は、クレジットカード事業の収益を加盟店側から得ることを原則としています。もちろん信販会社は貸金業や割賦販売事業もしており、その「利息」相当額は利用者から徴収しています。しかし、1回払いであれば利用者の負担額がゼロであることからわかるように、利用者はクレジットカード手数料を支払う必要がないのです。

老舗の信販会社も年会費無料に参入するのは、信販会社間の競合が激しくなってきた証拠です。カード利用者である一般消費者にとっては大変ありがたい話ですが、世の中甘い話ばかりではありません。

青田買いで若者を自陣営へ

クレジットカード会社は加盟店への宣伝のため、新規会員獲得に熱心です。会員数が増加することで加盟店に対しメリットを強調できるのです。しかし、最近若い人が少なくなっており、新規加入者が少なくなっています。

そんな中、老舗信販会社では通常年会費を徴収するクレジットカードに対して、若い人向けの年会費無料カードを発行しています。こうして若い人にクレジットカードの便利さをわかってもらおうとしています。

しかし、このクレジットカードは注意が必要です。初回のカード更新までに退会すると手数料が2千円必要になります。更新は5年間ですが、そのあとは自動的に一般カードに入会することになります。この年会費は1,250円なので、加入したら5年後には年会費が必要なカードが待っているというわけです。

若い人が少なくなったとはいえ、このような青田買いまがいのクレジットカードが出たということは、少子高齢化が進む実態を如実に表しています。

リボ払い専用カードだから無料

年齢制限がない年会費無料カードもあります。たいていの信販会社が提供しているリボ払い専用カードです。リボ払いになるように仕組まれているため、年会費が無料でもリボ払いの手数料が期待できます。年利16%程度の手数料は信販会社の収益の柱のひとつです。

リボ払い専用カードは、ポイント付与率も高いことで知られています。このリボ払い専用カードはお得そうで実はお得ではないという、ちょっとした罠が仕掛けられているのです。

しかし、リボ払い専用カードは、使い方ひとつで一括払いカードにすることも可能です。毎月の支払額を最大限に設定し、そり金額以内の利用に留めるのです。こうすることでリボ払いにはなりません。しかし、このような使い方だけをしていると、翌年には年会費が発生するクレジットカードもありますから要注意です。

年会費無料には理由がある

年会費が無料のクレジットカードには、このように何らかの理由があります。しかし、信販会社によっては余計なサービスを省いて年会費を無料にしていることがあります。クレジットカードに付随している旅行保険などは、現実に使い物にならないことが多く、海外旅行などでは別に保険に加入していることも少なくありません。

このような「無駄」を省いたゴールドカードは、年会費が一般カード並みになっていることもあります。もともと年会費が低い一般カードであれば年会費無料化をできないことはありません。この手の年会費無料のカードはポイント還元率が高いことも多いです。しかし、ポイントの付き方に一癖あり、多額の利用がないと還元率が低くなったり、有効期限が短かったりして「無駄遣い」を誘うようになっているのです。

年会費無料のカードには、このように何か理由があります。その理由が自分の利用目的と合致していれば「お勧めカード」になりますし、合致していなければ、ただの「罠」になってしまいます。

通販を餌にするあのカード

大手通販業者は大抵ハウスカードを持っています。通販業者によっては自社で銀行も持っていますから、グループ内の信販会社でクレジットカードを発行しています。改めて言うまでありませんが年会費は無料です。

このようなクレジットカードは、通販利用の広告宣伝ツールです。もともとの価格設定を若干高めにして「ポイント還元」で釣るのです。ポイント還元率がカード利用により倍々ゲームのように膨れ上がる比較表をも見せられれば、その通販業者を利用する人はみんな入会するでしょう。

審査も「大甘」だと言われています。貸倒が発生しても「広告宣伝費」の一環だと割り切れば審査が甘くてもいいわけです。それで会員が増加して、通販利用者が増加すれば通販に出店する店舗も増加します。信販会社が加盟店を増やす努力をしているのと同じことです。

通販系クレジットカードは広告宣伝のネタ

通販系クレジットカードは、一般的にハウスカードと呼ばれています。もちろん国際ブランドのビザ・マスター・JCBを付けているため通販内だけではなく、街の商店でも海外旅行先でも利用できます。

このハウスカードには通販業者のマークがついています。街で使うだけで広告宣伝になるという仕掛けです。通販業者の多くがこのようなクレジットカードを発行することで、顧客の囲い込みもできますから、一石二鳥です。

また、このようなハウスカードで決済してもらうことで会員の嗜好が手に取るようにわかる利点もあります。「適切」な広告宣伝を送ることで、無駄な広告ではなくターゲットとを絞った「ど真ん中」の広告がズドーンと届くわけです。人によっては気味が悪いと漏らすほど精度が高い広告が届く一つの理由です。

ポイントアップで買い物ジャンキー

とはいえ、カード会員のすべてが買い物好きではありません。いくつもの通販業者を掛け持ちしていることもあります。そのような会員は通販業者の派手なキャンペーンに乗ることはありません。

しかし、通販業者を一つに限定してポイントを採りつくそうと考えている人はポイントアップなどのキャンペーンには必ず乗ります。当然通販サイトでのランクが上がるので、キャンペーンの回数も多いし「お得意様キャンペーン」もあります。

ミイラ取りがミイラになるという諺がありますが、キャンペーンを追い求めるばかりに買い物ジャンキーになる人が案外多いです。実はこれこそ通販業者の目的なのです。他店舗に浮気することなく忠誠を誓い買い物を続けるありがたい顧客が増えるのです。

しかし、ジャンキー化された会員はそのまま支払不能に陥る可能性が高いです。「ホドホド」のジャンキー具合がいいのですが、人間の欲望を簡単に抑え込むことなどできません。暴走する買い物欲を止めることができるのは任意整理などの債務整理によるブラックリストだけなのです。

苦労するのは加盟店

しかし、このような通販業者のキャンペーン乱発の陰で泣くのは通販モールへの出店者です。キャンペーン参加時には「赤字覚悟」の大セールを半ば強制されます。「インストラクター」でもある通販業者の指導員は、顧客に「インパクト」を与えるため思い切った決断が必要だというアドバイスのもとに、売れ行き商品の目玉商品化を勧めます。

いったん下げた価格を簡単に上げることはできませんし、同業他社も同調して値下げに動けば市場自体が崩壊しかねません。しかし、通販モール全体の繁栄が至上命題である担当者はそのようなことを考えている余裕などありません。

結局苦労するのは通販モールへ出店している加盟店だけということになります。通販サイトへの出店業者の中には、寂れた商店街の店主もいます。このような店主は通販サイトの掟などわかりません。言われたとおりに安値販売の旗手となってしまうのです。その結果経営がさらに悪化し、どうしようもないまま廃業を強いられることもあるのです。

このような通販業者はクレジットカード決済をモール側で一括処理しています。「カード情報が流出しない」ためだそうです。しかし、モールの出店手数料などをしっかりと控除して代金を引き渡すのですから、確実に収益を挙げることができるのはモール側だということになります。

クレジットカードで会員を買い物ジャンキーにして、加盟店をモール繁栄の犠牲とし、更にクレジットカード代金の決済代金を自社売上代金の回収手段としていると言ったら言い過ぎでしょうか。

流通系カードも餌で釣る

通販モールで繰り広げられていることは、ショッピングセンターを企画する流通系企業でも同じです。いくら旦那の収入で支払うことができるとはいえ、無職無収入の専業主婦にクレジットカードを発行しているのです。

流通系カードもショッピングセンターのハウスカードになるわけですが、審査は大甘です。別に貸倒になっても広告宣伝だと考えているのも同じです。ハウスカードはそのようなものなのです。

この手のショッピングセンターは、年会費無料のクレジットカードを乱発しています。この手のクレジットカードは発行枚数が増加するため、決済業者であるビザ・マスター・JCBで取り合いになります。大抵は3社が相互乗り入れをすることになりますが、決済業者ごとのキャンペーンはすさまじいものがあります。

たまに静かな時はキャンペーンの休止時期ですが、キャンペーンがなければお客も来ないので閑散となるのです。結果として、値引きなどのキャンペーン時期にお客が集中し、売上は伸びても利益が出ない悪循環に陥ります。

ショッピングセンターは勧誘でいっぱい

ショッピングセンターに行くと、どこかでハウスカードの勧誘をしています。ショッピングセンター自体がキャンペーンをしている場合もありますし、決済業者が自社ブランドカードだけを宣伝していることもあります。

いずれにしても、入会するとその場で割引券などのサービスを受けることができます。ショッピングセンター内にクレジットカード発行ができるカードセンターを設置していることもありますから、スピード発行を望むのであれば、ショッピングセンターのハウスカードはお勧めです。

クレジットカード発行枚数増加が至上命題である信販会社にとっては、来客数の多いショッピングセンターは宝の山です。一気に発行枚数を増加させるチャンスなのです。カード会社が血眼で勧誘をしている理由です。

クレジットカードの加入者数
http://www.stat.go.jp/library/faq/faq13/faq13b04.htm

信じられないほどの審査の甘さ

ショッピングセンター発行のハウスカードも審査は大甘です。当然のことですが、下手に審査で落としてしまったら二度と店舗に来てもらえなくなるでしょう。ブラックリストに載るようなケースでなければ審査は通ると思って間違いないでしょう。

ショッピングセンターはともかく、スーパーのハウスカードは更に審査が甘いと言われています。会員となる来店者の多くは家庭の主婦です。昼間にスーパーに買い物に来る主婦は間違いなく専業主婦ですが、かまわず勧誘しています。

旦那名義でクレジットカードを作らせるならともかく、専業主婦名義でもクレジットカードを発行するのです。一体何を審査しているのだろうかと不思議に思いたくなりますが、利用額がスーパーの買い物程度に限定されているので「危険性」は少ないと思っているのかもしれません。しかし、国際ブランドのカードなので、通販サイトでもどこでも使えるクレジットカードなのです

カード利用で囲い込み

このようにハウスカードを乱発する目的は顧客の囲い込みです。スーパーも競争が激しく、地元の老舗スーパーが大手チェーン店と真正面で勝負するのです。ハウスカードを作らせることで自店舗への誘導を図ることは、スーパー経営陣の至上命題です。

スーパーの場合、毎月一定の日に全商品5%引きの日を設定しています。この日のスーパーは大混雑ですが、5%引いてくれる条件はハウスカードによる決済なのです。ハウスカードを見せれば現金支払でも引いてくれるケースもありますが、ハウスカードの会員に対する「感謝デー」なのです。

多店舗展開をしている大手スーパーは、資本力があるためハウスカード発行も余裕があります。発行時のキャンペーンも広告宣伝予算があるためやりやすいです。それに対し、地元の老舗スーパーは資本力に劣るため大手スーパーに負けてしまうことが多いです。

ハウスカードによる顧客の囲い込みはいいのですが、こうして日本中が全国統一規格の大手スーパーだらけになります。こんな無味乾燥な世界にした責任の一環がハウスカードなのです。